農業経営の安定を届ける農業共済

令和3年9月4週号

水稲と野菜、ギンナンの生産で明日への活路を
稲沢市祖父江町の株式会社松山農産(マツヤマノウサン)

 「日本の主食であるコメを生産していることに農家として誇りをもって、丁寧に作ることを心掛けている」と話すのは、㈱松山農産取締役の後藤恵美(ゴトウメグミ)さん(63)。2008年に法人化し、水稲約80㌶の栽培と販売・作業受託を主力として、露地野菜約1㌶とギンナンの生産も行う。
 あらゆるリスクに備えて、初年度より収入保険制度に加入している。昨年はカメムシやトビイロウンカ・白葉枯病などの病虫害に加えて、新型コロナウイルスの影響による外食産業の需要の落ち込みと米価の下落など、経営を脅かす要素が多数あった。「近年は先行きが読めない。特に昨年は不安が尽きない1年だったので収入保険制度に加入していて本当によかった。」と後藤さんは話す。
 また、担い手の育成にも意欲的だ。後継者不足が叫ばれるなかで、田植え体験などを通して、子供たちが実際に土に手で触れることで、どうやってコメが作られて、収穫されるかを教えている。地元の農産物への愛着を育み、農業を通して将来的な地域貢献を目指している。


イチョウの樹を背景に後藤恵美さんと娘の弥生さん


収穫全盛期 コメ刈取り作業


 「やよい畑」という部門では、後藤弥生(ゴトウヤヨイ)さん(39)が野菜の生産をはじめ、イベントの企画をしている。家族で参加できるイベント「畑deヨガ」や、「お米を使ったアクセサリー」の販売など、農業の枠にとらわれない、新しい取り組みも行っている。
 地域の特産であるギンナンの生産も行っている。祖父江町には1万本以上のイチョウの木があり、その実であるギンナンが特産。木曽川由来の肥沃な大地で育つギンナンは、大粒でもっちりとした食感が特徴で、都市部の一流料亭でも高い評価を得ている。コメや野菜のように毎日の食卓に馴染んだ食材ではないため、需要と供給の見極めが難しいが、今後はさらに力をいれていくと意気込む。


特産のギンナンを果肉処理後、ビニールハウスで乾燥させる

「孫が作文で、将来は農家になりたいといってくれたのが心から嬉しかった。時代とともに農業情勢も変化しているが、農家としての原点と誇りを忘れずに、パワフルに邁進していきたい。」と話す。(安藤)