農業経営の安定を届ける農業共済

令和6年7月4週号

渥美半島でトロピカルフルーツを


渥美半島の先端近く、田原市堀切町で『トロピカルフルーツのジャングル探検植物園』を経営する小川政行(おがわ まさゆき)さん(48)。ハウスを利用し、約80種類のトロピカルフルーツを栽培している。トロピカルフルーツといえば渥美半島とイメージしてもらえるよう、栽培、普及に意欲的に取り組む。
『トロピカルフルーツのジャングル探検植物園』は、トロピカルフルーツのジャングルを探検しながら、収穫体験もできる植物園だ。ハウス内はマンゴー、ジャボチカバ、アテモヤ、アボカドなど、約80種類のトロピカルフルーツの樹々や南国のオブジェに囲まれ、まるでインドネシア・バリ島のジャングルを訪れたような感覚を五感で楽しめる。


小川さんが経営するトロピカルフルーツのジャングル探検植物園


小川さんのトロピカルフルーツ栽培は、2014年に知人から譲り受けた3本のマンゴーの苗木から始まった。渥美半島の温暖な気候に合い、おいしいマンゴーを収穫できた。そこから様々なトロピカルフルーツ栽培に取り組むなかで、「おもしろそう」という思いから、19年に植物園を始めた。


国内でのトロピカルフルーツの栽培情報は少ない。「栽培方法や良い品種、苗木の情報を仲間と共有しながら、試行錯誤を続けてきた」と小川さんは話す。
田原市を中心に熱帯果樹の栽培者が集まる東三河熱帯果樹研究会に、小川さんは所属。勉強会や、お互いのハウス見学、県外や海外視察を盛んに行い、栽培技術を高め合ってきた。田原市での種苗、農業資材の取扱い実績を豊富に持つ株式会社中神種苗店も、研究会の活動に協力。地域に適する品種や苗木、技術の供給を行い、栽培をサポートする。
渥美半島の温暖な気候と広い情報網によって、トロピカルフルーツの安定栽培を可能にした。また「SDGsの取組みの1つとして、無加温、微加温での栽培にもこだわっている」と話す。暖房機の使用を控え、環境負荷、経費を抑える。


アボカドの木の下で小川政行さん(中央)、熱帯果樹研究会の鈴木美仁さん(右)、中神種苗店の中神哲也さん(左)


「樹上で完熟後に収穫した安全で新鮮な国内産のトロピカルフルーツは、食べたことのないおいしさを味わうことができる。新鮮な南国のフルーツを求めて、多くのお客さんが渥美半島に足を運ぶようになってほしい」と話す。今後は、アボカドを栽培しているハウスも利用して植物園を広げ、地域全体で盛り上げていく方針だ。
トロピカルフルーツを栽培する農業者を増やし、農業を豊かにしたい。2022年に植え、今年の収穫を楽しみに待つアボカドの樹の下で、小川さんは仲間とともに今後の展望を話してくれた。
(久野・高塚)